自然の色をそのまま残す「原色ドライフラワー」 
“花の命は短くて・・・”と言う言葉、よく美しいものの寿命のはかなさの表現として使
われる。ところが花の命は短くともその美しさを長時間、半永久的に維持する独特
の方法がある。
「生花の色、姿いつまでも」がテーマの日本原色ドライフラワー研究会の“原色ドラ
イフラワー”である。 (2000年2月JAS
機内誌「アルカスno.124号」掲載)

ドライフラワー作りを試された方も多くいらっしゃるだろう。筆者の場合“逆さに吊るして
おけばよい”と思っていた。だが茎、葉っぱは茶色く枯れ、花びらは黒ずみ縮んでしまっ
たのである。やはり花は美しく自然の色そのままであってほしいものだ。それを実現させ
ているのが原色ドライフラワーだ。
実際、生花と変わらない美しさには、驚かされるばかりである。これはいったいどのよう
にして花の色と形を美しく残すのであろうか。
その製作と保存方法を大阪の関谷仁朗会長(故人)が、発見し特許取得した原色ドライ
フラワー技術を受け継ぎ、現在は講師としてご活躍の釼持光子先生にご紹介頂く。
必要な道具は、ガラスケース・針金・鋏・ネット・ピンセット・リボンそして要となる乾燥剤の
シリカゲル。
まず目的の草花を庭や野山、フラワーショップ等で集めることから始める。
花は、満開より七〜八分咲きのものを選び、そして二、三輪多めにそろえる。満開だと、
乾燥(ドライアップ)した場合、花びらがとれ易い。
製作手順は、「花きり」、「埋め込み」、「花だし」、「アレンジ」、完成の五つの工程に分か
れる。ここではバラを使用した。最初の「花きり」は、文字通り花を切り取る作業。茎を
“がく”の下約1〜1.5センチメートル部分から切り取る(写真@)。切り取った花の茎の部
分に針金を差込み、残りの分部を丸めておく(延ばしたとき、ドライフラワーの茎となる針
金の長さは、ガラスケースの寸法を考慮する)。次に「埋め込み」これは細かい砂状のシ
リカゲル(乾燥剤)の中に入れる作業、研究会で花の見栄え、封入時のことが考慮された
独自のケース中(密封出来ればタッパーでもよい)に、乾燥した青いシリカゲル(研究会で
は、特許を取得したものを使用)を入れる(写真A)その上に花を乗せ回りからそして花び
らの間まで花の形を壊さないように注意をしながら優しくスプーンでシリカゲルをかけ、次
第に埋めてゆく。
(写真@) (写真A)
このシリカゲル(乾燥剤)の中に花等を入れる方法は特許取得。
あらゆる乾燥媒質、例えば軽石や300度Cで加熱し乾燥させた砂でもドライフラワーは
出来るが、水分の吸着率が低く再使用となると効率が悪い。乾燥剤によっては、吸着力
が強すぎたり弱すぎたり、また他に乾燥剤の中の塩化カルシウム、石灰等も使用する花
に悪影響を与え、塩素や熱を出すこともある、このように研究を重ね、他の物と混ぜ合わ
せても反応がなく安全で、水分の吸収量も丁度よく、水分を吸収するとシリカゲル自体が、
青から赤へと色変化するので分かりやすい。また乾燥させて再利用が容易である。
そうして埋め込んだ花は、大体一週間以上(花の種類、夏と冬、梅雨時の湿度にも多少
左右される)小さい花、花びらの薄いもの、例えばバラやカーネーション等は7〜10日ぐ
らい。牡丹などの大きく、肉厚な花は、10日以上置く。ちなみにドライフラワーになりにく
い花は、花びらがあまりにも薄いものである。たとえば大きな朝顔と一部の菖蒲(しょうぶ
・あやめ)だそうだ。そして黄色い花びらは、色が抜け易く変色することもあるので注意す
る。
三番目に「花だし」、花びらが折れたり取れないように注意しながら、静かにシリカゲルを
こぼしながら取り出す(写真B・C)。
(写真B) (写真C)
「アレンジ」は、ガラスケースとの兼ね合いを考えながら制作者のセンスで種々の花を組
み合わせてゆく。シリカゲルの中から取り出した乾燥した花の針金を伸ばし緑色のフロ
ーラルテープを巻きつけ茎にするか、それらを束ねデザインする。(写真D・E)
(写真D) (写真E)
このときにリボンなどを使い可愛らしく、また優美に作ったりする。そして束ねた茎を
“生け花”の剣山の代わりに、シリカゲルの袋にレスロンと言う幅の広いリボンで包んだ
“座布団”とよばれるものに刺し通し、茎の針金を折り返してガラス製の底の両面テープ
で貼り付け固定する。(写真F・G)。
(写真F) (写真G)
そして最後にガラスケースをかぶせて接着固定し完成である。
このガラスケースに入れる理由は、変色・変形・傷がつきにくく気密性が高い、そのた
め風(空気)、湿気の侵入を防ぎドライフラワーを半永久的に保存出来るからだ。他に
ベル型・円錐型・つぼ型・箱・ドームなどのガラスケースを自由に選び、自分の完成イ
メージに合わせることにより、同じ花でも違ったイメージとなりケースごとの作品となる
のである。
釼持光子さんは、昭和50年関谷仁朗(故人)会長の技術指導のもと東京では5人で
“原色ドライフラワー”の制作をスタート、現在1,500人以上の研究会となっている。
“会長の「和を大切に」の言葉と技術も大切にしながら一つでも多く新たな研究が出来
れば”と釼持さん。「これからは難しくて出来ないと思ってきた、又は思われている花材、
誰も考え付かない様な事にどんどん取り組んで行きたい」と前向きで意欲的である。
自然の美しくいとおしい草花が、そのままの美しさで保存、組み合わされ、長期にわたり
人に安らぎと感動を与え、そして魅了する。
展示作品撮影中、たまたま花屋さんが、訪れ、関係者に問いかけているのを耳にした。
“この花にはどうやってお水をあげてるんですか?”
このガラスケース、さしずめ“花のタイムカプセル”といったところだ。
(写真a) 
釼持光子(けんもちみつこ)さん
大正15年生まれ、小笠原流いけばな、アートフラワー、日本人形、俳画、書道等多彩な
現役工芸家、そして原色ドライフラワー研究会に籍をおき作暦24年、勲六等瑞宝章受賞
。現在最高顧問・名誉理事を務める。
(写真a)釼持先生と制作中の会員のみなさん。
原色ドライフラワー教室の所在については、0473−72−9674(釼持光子先生)にお問い
合わせを。
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撮影・取材 馬場高志
2003年09月11日
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